【日本の組織的問題】「超」入門 失敗の本質

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「失敗の本質」という本は、大東亜戦争における日本軍の組織的な失敗を分析した書籍だそうです。その分析をもとに、現在のビジネス社会(日本)における問題点を考察しているのが本書です。

かなり基礎的というか根本的な考え方について書かれているので、管理職の方はもちろん、今後の日本を担う若者こそ読むべき本なのかなと個人的には思いました。生粋の日系企業に勤める筆者にとっては、思い当たる節がありすぎて共感の嵐でした。日系企業に不満を持つ方、今の会社に将来性があるのか気になる方にもぜひ読んでほしいですね。

戦略と戦術は全然違う

本書では、アメリカの特徴として、大局的な戦略が得意と書かれています。大局的な戦略とは「目標達成につながる勝利」と「つながらない勝利」を選別し、「目標達成につながる勝利」を選ぶことです。最終目標に到達するためには必須な行為ですよね。

一方、日本の特徴として、戦術を洗練することが得意と書かれています。それはつまり、どの場面で勝利するかは置いておいて、とにかく勝つことに集中するということです。よくよく考えたらおかしいと気づくはずです。とにかく勝っても意味はないんです。最終目標に到達するために必要な勝利を選び、そのための戦略を練ることが何より大事なんです。でも悲しいかな日本人にはそれがなかなかできないようです。

例えばスマートフォン。今の日本じゃすっかりApple製が主流になっています。でも一昔前は日本企業の携帯電話が主流でしたよね。なぜ入れ替わってしまったのか?恐らく戦略(指標)を変えず、前回の成功事例に固執し、戦術ばかりを磨いていたからでしょう。如何に性能を良くするか、小型化にするか(詳しいことはよく分かりませんが)1つの成功事例をもとに、同じ指標を永遠追いかけ続けていたのでしょう。

一方アップル社は新たな指標を見つけ、追いかけました。それは、共通のプラットフォームを作り出すこと。明らかに異なる指標ですよね。これがヒットし、日本ではすっかり主流になっています。これがまさに日本の弱点その1です。

ダブルループ学習の重要性

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Photo by Happy Donut on Pexels.com

これまた日本人が苦手と言われている「ダブルループ学習」

そもそもダブルループ学習って何かというと、「想定した目標と問題自体が違っている」のではないか、という疑問・検討を含めた学習スタイルのことを指します。

例えば営業活動。「訪問数を伸ばせば売上も伸びる」と考えているとしましょう。(誰も自分の会社のことは言っていませんよ〜(笑))ダブルループ学習の場合、訪問数以外にも問題点があるのではないか?と目標や問題点を再考します。もっと教育を増やす?人を増やす?売るものを変える?そんな感じです。そして現場からのフィードバックを受け、常に変化し続けようとします。

一方日本人お得意のシングルループ学習の場合、どのように訪問数を伸ばすのかが唯一大事なこと!と考えられ、現場からのフィードバックは一切受け付けません。とにかく現場にはやれ!!!と指示をします。そして目標・問題点の見直しもせず、変化についていけなくなるのです。そう。これが日本組織が変化についていけない要因の一つです。

型の伝承から勝利の本質を伝承する組織へ

これも日本組織にありがちなちょっと嫌~なお話です(笑)

米軍と日本軍の対戦において、レーダー技術の開発は戦闘に大きな影響を与えたそうです。じゃあ、この戦局を大きく変えた最新兵器レーダーは日本で開発されていなかったのか?答えはNOです。一部の日本人は懸命に開発努力をしており、その能力は米軍を上回っていたとさえ言われているようです。ではなぜ取り入れられなかったのか?これが「型の伝承」にこだわりすぎた結果です。

「型の伝承」にこだわりすぎている場合、大多数の人は同じ組織内で新戦略やイノベーションを発見した人物を排除しようとする意識を持つようになります。なぜなら自分たちの信じているものを覆すネガティブな存在になるからです。これがまさに日本組織そのものであり、残念ながら今もなお受け継がれていますね。新しい考え方や技術、それを受け入れてもらうのにも非常に時間がかかり、評価されるのも時間がかかる。その結果、無難に従っていくのが一番平和と考え、どんどん「型の伝承」が行われちゃうんでしょうね…

「型の伝承」からいち早く離れ、「勝利の本質」を伝承する組織になってこそ、所属する全ての人間が変化への勝利に邁進出来る集団となるそうです。そんなこと日本でできるのか~!?なんて思ってしまいました(笑)

お飾り人事の徹底排除

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Photo by Marta Wave on Pexels.com

これはまさに、日系企業と外資系企業の違いかなと思います。日系企業は年功序列。年月が経てばどんなポンコツお荷物社員でも組織内のトップに居座り続けられる。一方、能力主義の外資系企業が能力があると見なされればトップに行き、無いと見なされれば首を切られる。まさにこの年功序列の仕組みこそが日本の弱点と言われています。

私の会社にも所謂「窓際部署」と呼ばれている、おいぼれが収容されている部署が存在しています。ですが、給料は我々よりもよっぽどよく、意見もかなり通されています。そんな状況を見ている我々若者はどうするか?「ああ、この会社でいくら頑張っても、年月が経ってないと意見すら通らない」「ポンコツでも時間がたてば偉くなれるんだ」「がんばるのやめよう」こんな風に思うのではないでしょうか。現に現役世代5年目~10年目の離職率はかなり高いです。次の話にもつながりますが、もう少し緊張感を持たせた組織にしない限り、日本企業にこれ以上の成長は望めないのかなと少し悲しくなりました。

組織に緊張を創造しよう

上記にも書きましたが、緊張感のある組織を作り出すこと、それこそが変化の中でも勝利を生み出せる方法の一つと考えられています。日本組織の在り方はとっても平和で、ある意味安定していると思います。ですが、そんな中で、今後起こりうる変化に耐えられるのでしょうか?偶然乗り越えられちゃうことはあるかもしれませんが、偶然は長く続きません。もう少し緊張感のある企業が増えることを願うばかりです。

個人的にですが一番取り入れて欲しいのが「トップ集団が批判をうける機会を常に持つ」これですね。

若手社員は否が応でも批判を受ける機会を持っていますよね。ですが、トップ集団を批判してくれるのは誰でしょうか?株主ですか?いやいや…。トップ集団が現場の意見をよく聞き、(誰か経由ではなく)自らも批判対象となる。変化する社会に対して、いつも新たな指標を探し続けようとする。そんな組織をいつか作りたいななんて思っています(笑)

リスクから目を背ける日本人

リスク管理をしようとしないのも日本組織の良くないところと言われています。リスク管理をせず乗り越えられるのはたまたまであり、しなかった場合の代償の方がよっぽど大きいはずです。

これもコロナウイルスに対する各社の対応で露わになったのではないでしょうか?私の会社は、第一波の際に一斉在宅勤務を開始しました。ところがトップ集団がWEB会議やらなにやらを使えないことをきっかけに「在宅勤務で仕事が出来るわけない!!」と一斉に出社させるようにしました。一方で、私の旦那の会社はいち早く在宅勤務体制を整え、コロナ終息後も在宅勤務の対応が出来る体制を作り上げました。

この一年での2社の対応、私は今後の成長性に大きく関わってくると感じています。在宅勤務体制を整えることはコロナ対策はもちろん、子育て世代に対する働き方の改革にもつながります。変化を与えられて柔軟に変化出来る組織、できなかった・しようとしなかった企業の差は、今後何十年後かに現れると思っています。非常に楽しみです。

最後に

上記に書いたものは本書のほんの一部分で、もっともっとたくさんのことが書かれています。私自身、この本を読んで改めて自分の会社の在り方に疑問を感じるようになりました。日々もやっとしている方には是非一読してもらいたいです。

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